「触ってみて」
福岡県柏屋町の満安スミさんのグラマーな胸が目の前に迫った。???
「ニセものは右よ、右。わかんないでしょ」。ケラケラっと笑った満安さんは、サマーセーターに手を入れて、ぽろりと人工乳房を出してみせた。
人工乳房は、乳がんで乳房を切除した人たちがブラジャーに入れて補正するもの。満安さんは、その型を採寸するアドバイザーだった。この12年間で約三百人の採寸をしてきた。
呼ばれれば、ほとんどボランティアで九州一円の病院に出かけてく。15年前、満安さん自身が乳がんで左の乳房を手術で失い、「いいおっぱい」を探し歩いた経験があるからだ。 |
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| 手術から3年後、米国製のシリコーン製の人工乳房に出あった。質感があり、触り心地がいい。手術跡が目立たないような、わきぐりのしまった水着と一緒につけて、全身の映る鏡の前に立ったとき、思わず涙があふれた。 |
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| 「胸を隠して歩くと縮こまって暗くなる。胸を張って歩いてほしい。気持ちも前向きになるんです」
鏡の前でパッと明るくなった患者の顔を見る。満安さんは「それを見るのが何よりうれしいんです」という。 |
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| (平成10年9月28日 朝日新聞 夕刊 掲載)
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